1 日本の経済危機はどこから来る?
かって評論家の高橋洋一氏は日本には霞が関埋蔵金があるから経済危機ではないと主張していたことがある。霞が関埋蔵金とは政府内の特別会計の剰余金とか積立金のことである。橋本竜太郎首相は日本には膨大な米国債があるから経済危機ではないと言っていたことがある。霞が関埋蔵金も米国債もかなりの額になるが日本の経済力はそんなものではない。日本は永年デフレが続き物価上昇率が0%の状態が続いている。これは日本国内でのお金の使い方が少ないことを意味する。これを2%の適度なインフレにするためには日銀券を刷って市場に流し景気を活性化しなければならない。その金額は膨大な額になるであろう。先に平成時代に見送った財政出動の額を1040兆円と見積もったがこれに近い額になるであろう。これは霞が関埋蔵金や米国債などよりはるかに大きい。これがあるから日本は経済危機ではないと言える。政府が30年間やってきた財政再建路線は「お金を使い過ぎたから節約しなければならない」という認識を基にしている。実際の日本の経済情勢はお金の使い方が少ないために起こった不景気であることを示している。つまり医者の見立てが間違っているのだ。お金を刷ってこれまでより多くお金を使うようにすれば簡単にデフレ脱却ができるのにそれができない。日本にはお金は有り余っているから経済危機になるはずはないのだが財務省がそのことを理解できないため経済危機に陥っていると言える。
2 豊かさの意味
戦国時代の日本にやってきた宣教師たちが書いていることだが「日本人は好奇心が強く、宣教師に対して質問を矢継ぎ早にぶつけてくる。質問は鋭く油断していると負かされてしまう。日本に来る宣教師は特別に優秀なものでなければ務まらない。これは日本人の頭の中にはいろんな考えが豊富に縦横に駆け巡っていることを示している。日本語の文章は漢字かな混じり文で表現されるが頭の中の考えも漢字かな混じり文に変換されて駆け巡っていると考えられる。この表現形式は表音文字だけで伝わるものと漢字だけで伝わるものが二重になって内容が伝わる高機能言語である。深く正確に伝わり忘れにくいという特徴があるように思う。日本人は和歌や俳句をつくるがこういう短形詩が盛んな国は殆どない。漫画は日本人だけが作るわけではないが日本人の作る漫画は多様なジャンルにまたがり、世界中に読者を持っている。甲子園球場で夏と春に県代表が集まり全国優勝校を決める高校野球はプロ野球と変わらない人気を誇っている。日本人には高校生の野球に面白さを見出す能力が備わっているのだ。人が関心を持つもの、面白がるもの、楽しむものの総量が大きいほど豊かと言えるのではないか。お金は目標ではない。お金は豊かさを実現するための道具である。豊かさをいっぱい持っている日本人にはお金を渡して豊かさを実現させることが必要である。